【症例報告】訪問リハビリのゴールは人それぞれ⑤(施設で寝たきりの状況からのリハビリについて)

リハビリ 訪問リハビリ

こんにちは😁“いが”です^^

私は年間100名以上の患者様が入れ替わる総合病院の回復期病棟で4年、その後在宅のリハビリへと分野を移し社内で1番の訪問件数をこなしながら5年目を迎えています。

今回の内容は以前記事にさせて頂いた内容の第5弾となります。※挨拶文は私の大切にしている考えを書かせて頂いてますので、以前のものをそのまま使わせて頂きます。

私が実際に訪問させて頂いている方が、何を目標として日々のリハビリを頑張って継続しされているのかをお伝えします。

私が病院時代に訪問リハビリに持っていた印象は、「在宅生活の自由度を高めたり、デイサービスに通う事で社会参加をする」という事へのサポートが、主要目標と考えていました。

しかし、実際に働いている中で一人一人の頑張る理由や、もし何でも願いが叶うとしたらやりたいと思っている事などをお聞きした時に、私が思っていた印象以上の深みを知る事が出来ました。

ご利用者様の人生に寄り添う訪問リハビリでは、この十人十色という感覚を本当に大切にしていきたいと思っています。

“あっ、こんな事も望んでいいんだ!”と、ご覧下さっている方の選択肢が少しでも広がると嬉しく思います。

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目次
1、症例9《できる事を見つけて日常生活に取り入れる事ができた症例》
2、症例10《トイレでの排泄が出来るようになった症例》

1、症例9《できる事を見つけて日常生活に取り入れる事ができた症例》

90歳代の女性で、高齢者施設にて寝たきりの状態で過ごされており、生活の全てに介助を要している方です。

認知機能も低下しており、ご自身で自発的に活動する事が困難で、会話をする事にもこちらの配慮が必要な状況でした。

リハビリの依頼内容としては、このまま弱り続けてしまう事が心配な為、少しでも意欲的で活動的になって欲しいというご希望でした。

リハビリとしては、ご利用者様の残存している能力は何なのかを適切に把握し、全介助の状況から少しでもご自身で出来ることは行ってもらえるようにサポートする事としました。

そして、出来る事と出来ない事を明確に分類して、出来る部分に最大限のフォーカスを当てて、パフォーマンスレベルの向上を図りました。

一例として、出来る事と出来ない事の分類を記載いたします。

〈出来ない事〉
・立ち上がりや立位動作
・思考を伴うコミュニケーション
・ベッド⇄車椅子間の乗り移り動作
・着替えや入浴
・日付や季節がわからない

〈出来る事〉
・寝返り
・起き上がり(リハビリ当初は出来なかったが、体力の向上に伴い出来るようになった)
・ベッド上でのオムツ交換時の腰上げ動作・座位姿勢の保持(背もたれなしでも安全に実施できる)
・ベッド⇄車椅子間の乗り移りの際の協力動作(介助者にしっかり掴まれる)
・手洗い動作(水の出し方はわからず手助け必要)
・直進のみ車椅子操作(両足で床を蹴って移動できる)
・しりとりや足し算などの簡単な脳トレ
・食事や整容動作(時折指示や声掛けを要す)
・リハビリスタッフの名前を覚えられた

これらの情報を施設スタッフに共有させて頂くと、「こんなに出来る事がある!」と驚かれていました。

そして、日常生活の中で出来る部分は最大限ご自身で行ってもらえるよう、施設スタッフの方々もご協力して下さっています。

このように、動作の中の一部分だけでも出来る要素は最大限行って頂けることが、日々の生活にハリが生まれる要因となります。

基本的に今回の症例はご自身でのご判断や思考が伴う事は拒否傾向があるのですが、声掛けの仕方や環境設定によって、自発的な活動や動作を引き出す事が出来ました。

2、症例10《トイレでの排泄が出来るようになった症例》

80歳代の女性で、高齢者施設にて介助を受けながらご主人と2人で生活されていました。

小児麻痺を患っており左に優位な麻痺の後遺症がある為、普段の生活は寝たきりの時間が長く、生活の全てに介助を要している方となります。

また、認知機能も低下しており、その場でのコミュニケーションは取れますが、リスク管理などご自身の判断が伴う事や日付・季節の認識は出来ずに記憶障害が多く認められていました。

ご家族様からのリハビリの依頼内容としては、少しでも運動を実施して体力をつけて欲しいというご希望でした。

身体機能としても、体幹の力が弱っており座位姿勢の保持が出来ませんでしたので、排泄は全てベッド上で行っていました。

ご本人様ともリハビリの目標を一緒に決めている中で、「トイレでの排泄がしたい」というご希望がありました。※ここでのトイレとはポータブルトイレの事を指します

ご家族様からの希望内容にも添いながら、ご本人様の希望も叶えるという目標を立て、座位訓練を中心に体力訓練を継続しました。

そして、座位保持訓練と並行して立位訓練も開始しました。

約1年近くの時間を要してしまいましたが、結果として座位姿勢の保持が可能となり、トイレでの排泄が行えるようになりました。

そして、初めのうちは2人の介助者が全力でサポートする事でなんとかトイレでの排泄を実施できていましたが、立位訓練により足にも力が入るようになった為、立位保持が1人の介助でも簡単に実施できるようになりました。

人としての尊厳を大切に考える上でも、排泄をトイレで行えるという事は私は非常に重要な要素であると考えます。

リハビリの効果により、尊厳を少しでも守る手助けができた事はとても嬉しく思います。

終わりに

今回は施設にお住まいで寝たきりという状況からリハビリを介入した症例を中心にお伝えさせて頂きました。

寝たきりだからもう何もできる事はないという事は一切ありません。

ご利用者様が持っている能力を最大限活かした関わりがとても大切であると考えます。

訪問リハビリを通してご利用者様の可能性を少しでも広げられるお手伝いができると嬉しいです。

皆様からのご質問やご意見などを大募集してます!
記事の内容のリクエストや実際のリハビリに関するご質問など頂けましたら最大限のサポートを致したいと思います✨

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